ドル・コスト平均法


投資は、安い時に買い、高い時に売ることが重要であると言われます。しかし、安値がいつで、いくらなのか、高値がいつで、いくらなのかは、後付けでないと分らないものです。

多くの投資家は、安くなると思っているうちに価格が上昇して、高値と思っても、まだ高くなると思っているうちに売り時を逃してしまう、というのが実態です。

そんな時に有効とされているのが、ドル・コスト平均による積立投資です。どんな投資商品にも価格変動があります。価格が上下するなかで買い時や売り時を判断することはせず、毎月決まった額で同じ銘柄を買い付けていき、価格変動リスクを抑えられる投資法が「ドル・コスト平均法」です。

毎月同額を買い付けるということは、価格が安いときは多くの量を、価格が高いときには少ない量を買い付けるため、結果的に平均購入単価を抑えることができます。満期がない限りどの様な投資商品でも積立が可能です。

念のため、同じ商品を定量購入した場合と定額購入した場合を比べてみます。例えば投資信託を毎月定量購入すると、毎月決まった数量を買い付けるため購入価格は毎月変わります。逆に毎月定額購入すると、毎月決まった金額を買い付けるため購入口数は毎月変わります。

つまり、定量購入した場合には、買い入れの平均価格は算術平均となりますが、定額購入した場合には、平均よりも安い時に多くの量を買う事になりますから、平均買い入れ価格は算術平均を下回ります。定額購入であれば、価格が下がったときに、がっかりするのではなく多く買えたと捉える事ができ、価格が上がったときには、少ししか買えませんから、高値掴みをする事を避けることが出来ます。最終的な利益は、売却時の価格によりますが、少なくとも購入価格を低めにする効果が「ドル・コスト平均法」にはあるといえるでしょう。価格の下落はドル・コスト法ではチャンスとなり、長期で継続していれば、上昇局面がやってきたときに、利益を得る機会が多いことがわかります。

つまり、ドル・コスト平均法は、最初の銘柄選びが重要ですが、少額で、長期でコツコツと資産を形成したいという人に向いている投資法といえるでしょう。最良のタイミングで買入が出来る訳ではありませんが、少なくとも平均価格以下で買い入れることが出来るというのは投資を行う上で非常に重要です。

もちろん、ドル・コスト平均法を行えば必ず儲かるわけではありません。基本的には長期で価格が上昇していく資産または銘柄を選択していることが必要といえます。

もちろん、長期で上昇する資産を選ぶこと自体が、容易ではないので、やはりここでも、複数の銘柄あるいは資産に分散投資を行い、投資資産全体で投資成果を見ていくのが一般的でしょう。

また、個人投資家が投資を行う際にドル・コスト平均法は現実的かという事も考えておかなければなりません。投資信託などの小口で購入できる商品ではドル・コスト平均法は可能ですが、最小売買単価が高いものですと、結果として毎月同金額購入することは難しく、定量に近い買い方になってしまうことがあります。株式ですと最低売買単価が100万円台のものを選んだ場合、仮に毎月100万円投入できたとしても、それでは定量投資となります。定額にしようとすると10%価格が動いた場合でも1000万円程度でないと実現できない事となります。またこの場合も誤差は極めて大きくなり理論値とは大きく異なるわけです。もちろん、毎月購入する必要はなく四半期ごとでも年毎でも理屈は同じですが、結果の誤差はタイミングにより大きくなります。

つまり、実際にドル・コスト平均法での投資を行う場合には、莫大な投資資金を持っているか、かなり少額でも投資できる投資信託の様な投資商品に限られると言えるでしょう。ドル・コストは理屈として理解できても実践するのは容易ではないのです。

 




 

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